行政書士のお仕事Q&A

永住・国籍取得

Q1
日本での永住は、永住を希望すれば誰でも許可されるのでしょうか?
A
  1. 入管法上の許可要件
    1. 素行が善良であること(日本の法律に対する遵法精神)
    2. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(生計維持能力)
    3. 法務大臣がその者の永住が日本国の利益に合致すると認めたとき(裁量)
  2. 実務上の要件
    1. 10年以上継続して日本に在留していること。但し、留学生として入国し学業終了後就職している者については、就労資格に変更許可後5年以上の在留歴を有していること。
    2. 最長の在留期間(5年)をもって在留していること(※但し、当面、在留期間「3年」を有する場合は、「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱われることになっています)。
尚、日本人、永住者の配偶者などの場合はこれより短い在留期間(3年以上)で足ります。
Q2
新しい在留管理制度について教えてください。
A
新しい在留管理制度(平成24年7月9日施行)は、外国人の適正な在留の確保に資するため、法務大臣が、日本に在留資格をもって中長期間在留する外国人を対象として、その在留状況を継続的に把握する制度です。この制度の対象者には,氏名等の基本的身分事項や在留資格,在留期間が記載され,顔写真が貼付された在留カードが交付されます。また、この制度の導入により在留状況をこれまで以上に正確に把握できる (各種届出が定められています) ようになりましたので、在留期間の上限をこれまでの3年から最長5年とすることや、出国の日から1年以内に再入国する場合の再入国許可手続を原則として不要とする「みなし再入国許可制度」の導入など適法に在留する外国人の方々に対する利便性が図られています。
詳しくは、入国管理局のホームページ http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact_1/index.html をご覧ください。
Q&A在留管理制度よくある質問については http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact_1/q-and-a.html をご覧下さい。
なお,新しい在留管理制度の導入に伴って外国人登録制度は廃止され、中長期間在留する外国人も日本人と同じく、住民基本台帳制度の対象となりました。
Q3
日本の国籍を取得したいと思っています。日本国籍の取得について教えて下さい。
A
貴方のように自分の意志で日本の国籍を取得することを「帰化」といいます。帰化は法務大臣に「日本人になりたい」旨を申請し、許可された時に日本国籍が与えられます(国籍法4条)。しかし、申請すれば必ず許可されるというものではなく、帰化条件を審査した上で法務大臣が拒否の判断をするものです。帰化の条件としては(1)居住条件、(2)能力条件、(3)素行条件、(4)生計条件、(5)重国籍防止条件等があります。
Q4
父親が日本人で母親が外国人です。父母は結婚していません。日本国籍は取得できますか。
A
この場合で子が日本国籍を取得するには、従来は、父親による認知に加えて父母の結婚が必要でした。しかし法改正により、平成21年1月1日からは父母の結婚が不要になりました。具体的には、次の条件に当てはまる方は届出によって日本国籍を取得できます。
  1. 父に認知されていること
  2. 20歳未満であること
  3. 過去に日本国民であったことがないこと
  4. 出生したときに認知をした父が日本国民であったこと
  5. 認知をした父が現に(死亡している場合には死亡した時に)日本国民であること
なお、日本国籍を取得するのはその届出のときです。出生時にさかのぼって日本国籍を取得するのではありません。
Q5
フィリピンから10年前来日しました。
日本の生活にも慣れ、将来も日本に住み続けたいと考えています。
そこで、日本国籍を取得したいと思うのですが、どういう要件が必要でしょうか?
A
日本国籍取得(帰化)のためには、次の6つの要件が必要です。
  1. 引き続き5年以上日本に住所を有すること
  2. 20歳以上で、かつ、自分の国の法律(質問者の場合はフィリピン)によって能力を有すること。(つまり、自分の国の法律上、成年に達していること。)
    ただし、未成年者の場合は、親が帰化許可申請を出せば「日本国民の子」ということで、この条件は問題にならなくなります。実際、親と未成年の子供が同時に帰化許可申請をすることが可能です。
  3. 素行が善良であること。
    これは前科や非行歴、納税義務を果たしているかどうかによって判断されるものと考えられます。
  4. 自分、もしくは生計をひとつにする配偶者、その他の親族の資産・技能によって生計を営むことができること。
  5. 無国籍、もしくは日本の国籍の取得によってそれまでの国籍を失うこと。
  6. 政府を暴力で破壊することを企てたり、不法団体を結成・加入したりしないこと。
※帰化申請は許可が下りるまで長期にわたりますので、申請後も交通違反や税金の滞納など、行動に十分な注意を払って下さい。
また、国籍法の条文にはありませんが、日本語の読み書き・理解・会話能力は当然必要なものとされています。
なお、日本人と結婚している場合は、条件が一部緩和されます。
Q6
私は、先日駐車違反で青キップを切られました。これから帰化申請は可能でしょうか?
A
帰化の要件の中に「素行が善良であること」というのがあります。
交通違反や交通事故を起こしている人の場合はこの条件に反していると判断されることがあるようです。
ただ、現状の取り扱いとしては、軽微な交通違反であれば、申請も受け付けられ許可となっているケースもあり、違反や事故の回数、程度により具体的に取り扱いが異なりますので、係官に具体的な内容を相談され、指示をあおぐと良いでしょう。
違反や事故の内容等により、「あと○年申請を待つように」と指示が出されることもあります。
Q7
私は、預貯金がほとんどなく、不動産等の財産もありません。このような場合でも帰化できるでしょうか?
A
申請書にも、預貯金の額や所有不動産、高価な動産を記入する欄があり、心配なさる方がおられます。今日では通常の生活が営める収入や財産があれば許可となっていますので、それほど心配する必要はないと思います。
Q8
申請が受け付けられれば、必ず許可となるのですか?また、申請してからどのぐらいの期間がかかりますか?
A
許可は、法務大臣の自由裁量となっており、受け付けられたからといって、必ず許可となるわけではありません。ただ、実際は申請の相談の段階で明らかに許可が難しい方の場合は、係官からその旨のアドバイス等があることも多く、申請が受け付けられた方で、不許可となる方は少ないようです。また、申請してから許可までの期間は、申請内容により審査内容も異なり、その支局の受付件数にもよるため一概には言いにくいのですが、7ヶ月から1年程度が多いようです。